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KirishimaAdvent2024

アスタルテ アドベントカレンダー2024 DAY20

アスタルテ アドベントカレンダ− 2024 DAY20

20日のうちには書くと キッパリ言ったばかりなのに…… スマン ありゃ ウソだった

でも まあ クリスマスには間に合ったんだから 良しとするって事でさ……

こらえてくれ

ジェネリック東方 ~東方っぽい非東方曲集~

古山キリヲ(khirio@kirishima.cloud)



お久しぶりです。そうでない方は、はじめまして。古山キリヲです。

アドカレは二年ぶりですね。

最近、仕事とウマ活で忙しくてほとんど東方や作曲に手を付けられていませんが、今回のテーマは東方楽曲とさせていただきました。

東方ProjectのBGMや秘封倶楽部の原盤(東方原曲)を聞き飽きて、新しいものに飢えてる人向けに、東方っぽい楽曲たちを紹介していきます。

相変わらず微妙に詰めが甘いところもありますが、どうかご容赦ください。

1. そもそも「東方っぽい」とは?

以下に挙げる要素のうちいずれかが入ってれば、だいたいの曲は、東方っぽく聞こえます。

本文中に埋め込まれたリンクをクリックするとYouTubeとかに飛びます。聞いてみてね。

ここまでは結構いろんな曲にもある要素です。 逆にここから下に挙げる要素が揃ってたら「東方っぽさ」を狙って作ってるとしか思えない。

これらの要素から分かる通り、実は東方原曲って「和風」一辺倒ではないんですね。 アメリカ・アフリカ・東欧・北欧・西アジアから中華まで、世界中の様々なジャンルの要素が混ざっていて、めちゃくちゃ多国籍で和洋折衷。もはや「東方」という新たなジャンルと言っても過言ではないくらい。

ちなみに今のところ、ChatGPTClaudeに「東方ProjectのBGMにおける特徴は?」と訊いてもこんな答えは返ってきません。他愛もない。AGIの実現はまだまだ先のようです。

(追記)Gensparkは良い線いってるけど、やっぱりTresilloが出てこない Gensparkによる回答例

2. ZUN曲のルーツ

視点を変えて、東方Projectの原作者、ZUNさんの作曲スタイルについて、ルーツを探ってみましょう。 知ってる限りちょっと図にまとめてみました。(TobyFoxもいるけど)

こうして見るとTobyFoxの音楽性ってかなり欲張りですね(?)

ジャンルでいうと、やはりこのあたりに源流があります。

この他にも永夜抄の「竹取飛翔」にて「ゼビウス」のオマージュが入るなど、音楽性の根っこはかなり広範囲に張っています。

3. ジェネリック東方(アーティスト編)

では、いよいよ本題の、東方っぽい曲を多く発表しているアーティスト、いわばジェネリック東方四天王を紹介していきます。 上記で述べた、ZUN曲のルーツにあたる人たちは除いています。 だいたいみんなピアノジャズ系です。

  1. fox caputure plan
  2. jizue
  3. SANOVA
  4. 松谷卓

ここからはAmazonMusicのリンクを貼っていきますので、契約してない人はAppleMusicやSpotifyで同じアルバムを自分で探してください( )

3-1. fox capture plan

東方っぽい、といえば、まずこの人たちは外せません(最近の曲はそうでもないけど)。ピアノ、ベース、ヴァイオリン、ドラムの4ピースを基本としつつ、ジャズ感強めで、テンポの速い曲が特徴のインストバンドです。 デビュー当時からVI-V-VIm進行を使いこなしています。

劇伴作曲家としても有名で、有名どころだと「コンフィデンスマンJP」実写版「推しの子」の劇伴を担当してたりします。 TVから東方めいたフレーズが流れてくるの新鮮。

3-2. jizue

fox capture planとかなり似た作風ですが、ヴァイオリンがあまり出てこなかったり、ギターの出番が多かったり、三拍子の曲が多いことが特徴です。

NHK「クローズアップ現代」のEDテーマ「sakura」や、ドラマ「宙わたる教室」などにも楽曲提供しています(NHKの回し者ではない)。

3-3. SANOVA

とにかくやばいです。 VI-V-VIm進行・Tresillo・短調6度抜きをハイレベルに組み合わせた作風が特徴です。 ダメ押しに短三度転調も登場します。 「東方新作の道中曲です」って聞かされたらマジで騙されるくらい。 ピアノ以外にもオルガンやシンセも器用に使いこなしています。 特にオススメは、この「東海道メトロポリス」です。

3-4. 松谷卓

ピアノを中心に置きつつ、どちらかというとテクノ寄りな感じです。 「大改造!!劇的ビフォーアフター」の曲でおなじみの方ですが、注目してほしい曲はこちらの「S」。 四段流し進行や短三度転調など、随所に東方要素を見つけることができます。 VirtualGuitaristのUltra(星蓮船でよく使われるギター音源)らしき音も出てくるし。

4. ジェネリック東方(楽曲編)

色々と聴いてきた中で、普段から東方っぽい曲は出していないアーティストについても、東方っぽい曲がありましたので(ルメール弁)いくつか紹介していきます。

4-1. Pia-no-jaC

ピアノとカホン(Cajon、手で叩いて音を出す箱型の打楽器)の2ピースバンドです。 やたらパワフルなピアノさばきが特徴。ピアノは打楽器、(発音原理上は)何も間違ってない。 読み方が「ピアノジャク」で「天邪鬼」とかけている所も東方ポイント高め。

そして、紹介したいのはこちら「交響曲 第9番 ニ短調 作品125「合唱」第四楽章」 みんな大好きベートーヴェンの「第9」です。大晦日じゃなくてもいいんで聴いてください。 おなじみのフレーズがTresilloのリズムにアレンジされることで、一気に東方っぽく聞こえてきます。 四段流しもバリバリ決まってるし、これ実質東方風アレンジでは?

東方っぽさは劣るけど「小フーガ ト短調」(所謂「ハゲの歌」)のアレンジもいいぞ。

4-2. SEKAI NO OWARI

ついついゲス不倫(ゲスの極み乙女。)と混同されがちなバンド。 注目はこちらの「Habit」です。 最初から最後までほとんどB♭m-G#-F#-Fの四段流し進行で構成される、珍しい曲。

2022年の紅白歌合戦で流れたときは、一瞬「あれ、なんで東方アレンジサークルがNHKホールに?」と思ったり思わなかったり。

4-3. Hello Sleepwalkers

沖縄出身のロックバンドです(ぜんぜん沖縄感ないけど)。 ウマ娘とジョジョ7部を混ぜたような曲も作ってます。

すごいのはこちらの「プロジェクト」です。 歌ありの曲ですが、なんと短調6度抜き、VI-V-VIm進行、Tresillo、発狂ピアノ、ありとあらゆる東方要素が揃っています。

これを聞いて、東方Projectの「Project」には、名詞の「企画」だけではなく、他動詞としての「投影する」という意味も含まれている、そんな考察を思い出しました。 私たちが作品を通して見ているものは、現実でも夢でもなく、あくまでも投影された「写像」に過ぎない。ゆえに東方原作も、幻想郷を原点として翻案された「二次創作」である、と。

ここで紹介してきた曲たちも、幻想郷に対する「写像」のひとつなのかも知れませんね。

5. 音楽生成AIは「ジェネリック」たり得るか?

ところで最近、自動作曲(音楽生成)AIも広まってきたので、試しにSUNOに何曲か作らせてみました。

IV-V-VIm進行のフレーズ与えてプロンプトに「new age」って入れとけば何かそれっぽくなる模様。 というわけで、こちらの「Sunrise of the Mystic Mountain v1」を、お一つどうぞ。

後半のパートで一息入れて、西方っぽいフレーズから急にBadAppleっぽくなるところとか、結構いい線行ってるかも。やるじゃんSUNO。

まとめ

というわけで今回は、東方原曲の音楽的ジャンル的な特徴と、東方っぽい曲を色々と紹介してきました。

みなさんもストリーミングサービスで、ここで挙げた曲を聞き漁ってみてください。 おすすめ曲のプレイリスト(自動で作成されるやつ)に東方っぽい曲がメッチャ出てくるようになって、QOLが上がります。試してみてね。